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ICLS受講 ICUやERで働く臨床工学技士には是非受けてほしい

ICLSコースの受講は急性期領域で働く臨床工学技士の方にはおすすめです!

どうも、筋トレ臨床工学技士ブロガーkenです。

本日はICLS受講のススメを自分の経験を踏まえて書いていきたいと思います。

 

医療従事者ならみんな受けた方がいい講義だと思いますが、

集中治療、救急医療に携わるCEの方は特に受けることを強くおすすめします!

 

また、この講義は普通の勉強会などとは違い、受講場所や日程が少し特殊なため、その辺りについても書いていきます。

本日もよろしくお願いします。

 

ICLSとは何か?

ICLS(Immediate Cardiac Life Support)の略称です。

Immediate:すぐに、間髪おかず

という意味から

心停止に対しての迅速な蘇生を行う。

 

具体的にはICLSコースを受講して、

突然の心停止に対して、最初の10分間の対応と適切なチーム蘇生の知識と技術を取得しましょう!

という目的の講義となります。

 

ICLSコースの内容

日本救急医学会主催のICLSコースのスケジュール例はこのようになっています。
(実施施設により、順番などは多少違うかもしれません)

グループ1 グループ2
    ~9:00 受 付
9:00~9:20 開会の言葉・ACLS概説
【 スキルセッション 】140分(正味120分)
9:30~10:10 BLS(A) BLS(B)
10:10~10:20 休 憩
10:20~11:00 モニター/電気ショック(A) 気道管理と挿管(B)
11:00~11:10 休 憩
11:10~11:50 気道管理と挿管(B) モニター/電気ショック(A)
11:50~12:40 【 昼 食 】50分
12:40~12:55 【 デ モ 】15分
【 シナリオセッション 】200分(正味160分)
13:00~(適宜 チーム蘇生BLS(意識の確認から波形宣言まで)
休憩)~14:20 輸液路確保と薬剤投与(A) 輸液路確保と薬剤投与(B)
14:20~14:30 休 憩
14:30~15:20 ALSアルゴリズム実践(A) ALSアルゴリズム実践(B)
15:20~15:30 休 憩
15:30~16:20 原因治療を含めた蘇生(B) 原因治療を含めた蘇生(A)
16:20~16:30 休 憩
【 試験 】70分
16:30~16:40 試験の説明(10分)
16:40~17:40 メガコードテスト 1人10分(計60分)
17:40~18:00 【 修了式 】

出典:日本救急医学会 ICLSコース コース概要より

自分が受講した際もこのようなスケジュールでした。

 

最初の20〜30分間のみ講義を行い、あとは全て実習です。
実習メインのコースとなりますので、動きやすい服装での受講必須となります。

 

人形を使って心臓マッサージ、除細動器の使い方、気管挿管などを練習して、午後はテストという流れです。

人形と書きましたが、呼吸の動き、頸動脈の拍動、心電図波形、意識レベル(うめき声的なのをあげる時もあったような)などが、講義者(ディレクター)のプログラマー操作で調整できるハイテクな人形でした。
受講者のために何度も気管挿管され、何度も除細動をかけられ、何度も心停止と蘇生をさせられ、何だか少しかわいそうな人形さんです笑

ICLSコース 行動目標

このコースでは以下のポイントを習得することを目標とします。

  • 蘇生を始める必要性を判断でき、行動に移すことができる
  • BLS(一次救命処置)に習熟する
  • 心停止時の4つの心電図波形を評価・判断できる
  • 電気ショックの適応を判断できる
  • 電気ショックを安全かつ確実に行なうことができる
  • 状況と自分の技能に応じた気道管理法を選択し実施できる
  • 気道が確実に確保できているかどうかを判断できる
  • 状況に応じて適切な薬剤を適切な方法で投与できる
  • 治療可能な心停止の原因を知り、原因検索を行動に移すことができる

出典:日本救急医学会より

この中から一部補足します。

蘇生を始める必要性を判断でき、行動に移すことができる

具体的には
呼びかけて意識の確認、
胸郭の動き、音などから呼吸の有無の確認
頸動脈触知による循環の確認(一般人向けのBLSでは求められませんが、医療者は確認できるようにしましょう)

これら三つが確認できないときはすぐに胸骨圧迫です!
なるべく判断に時間をかけず、迷ったら胸骨圧迫!

 

AED(自動体外式除細動器)を安全に操作できる

これは院外ではもちろんそうですが、院内の場合は基本的にはDC(除細動器)を使用するため、その使い方を習得しましょう。
AEDの使用でも言えることですが、ショックをかける際は必ず

自分が患者に触れてないか

患者が他のものに触れてないか

周りの人が患者に触れてないか

をちゃんと確認することが重要です!

一刻を争うので、慌ててしまいそうですが、ここは絶対確認を怠らないでください!

余談ですが、劇場版コード・ブルーが上映されましたね。

ドラマシリーズも見てましたが、シーズン1で
DCを患者さんにかける直前に藤川先生が輸液ルートを確認しようとして患者さんの手を触りに行き、感電して心室細動を起こし、入院。上司の黒田先生からの
『お前はここに向いてないから他の病院探せ』
と言われてしばらくドクターヘリに乗せてもらえないということを思い出しました笑

心停止時の4つの心電図波形を評価・判断できる

迅速な蘇生が必要な心電図波形は

・Vf:心室細動
・pluslessVT:脈なし心室頻拍
・PEA:無脈性電気活動
・Asystole:心静止

の4つです。

どれも放っておけば確実に命を落とす致死性不整脈です。

PEAについては、心電図上は何らかの波形が見られますが、心臓の拍動に影響しない波形なので、波形は何かしら出ていても、頸動脈の触知ができないならPEAです。

上記の画像の通り、PEAとAsystoleは電気ショックをかけても治らないので、いち早く原因の究明とその原因となるものを是正することが必要です。(その間は絶えず胸骨圧迫です)

治療可能な心停止の原因を知り、原因検索を行動に移すことができる

心停止の原因となる病態は主に以下のものです

・低酸素症
・循環血液量減少
・低カリウム、高カリウム血症
・低体温
・緊張性気胸
・心タンポナーデ
・急性中毒
・急性冠症候群
・肺血栓塞栓症

PEA、Asystoleの場合はこれらのどれかが原因となっているので、その原因を迅速に対処することを優先とします。
(例えば緊張性気胸ならとにかく胸腔穿刺して脱気)

VF、pluslessVTの場合はとにかく電気ショックです!

 

その他のポイントも全部重要です。
CEは薬剤投与や気道確保については臨床で行うことはあまりないと思いますが、ICLSコースでは関係なく全部体験します。

自分が実際やらない領域でも、他の人が今何をしているのかを把握することが大事です。
チーム医療を円滑に行うポイントだと思います。
臨床工学技士が院内でモテるかどうかを真剣に考えてみる

 

ICLSコースはどこで受講できるのか?

これは普通の講習会のように受けるというのは難しいです。

僕はたまたま自分の施設で開催されると知ったので、自分の施設で申し込みをして受講しました。

一応、日本救急医学会のホームページで受講会場と日程を検索することができますが、外部からの公募はしていませんという施設が結構あります。
(ホームページに載せる意味あるのでしょうかね?)

 

手取り早いのは自分の施設でやっているならそこで受講

やっていなければ近隣の大きな病院で個人的に聞いてみるのが手っ取り早いのかと思います(他の人のつてが必要になりますね)

医療者は皆受けるべき講習会だと思うのですが、クローズドすぎて受講しにくいのが難点ですね。

 

最後に

以上がICLSコースで学ぶ内容の一部と開催場所、日程についてでした。

なかなか受講しにくい講義なのですが、まずは自分の施設で開催しているかを確認してみましょう!

ICLSコースを受講して合格すると、その日からICLSプロバイダーとなります。

ちなみにこれもれっきとして資格です。
講義の内容が身につくことが大事ですが、臨床工学技士としての価値を高めるのに資格を取得したいという人も、受講をおすすめします。

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講義は最初の数分で、残りは実習形式の講義です。

日本救急医学会から出版されているICLSコースガイドブックで予め予習しておいた方がスムーズに実習を行えるので、事前に購入することをおすすめします。

本日もここまで読んでいただき、ありがとうございました!

ken