◆目次◆
透析患者さんの腎臓リハビリテーションをする際、臨床工学技士としてサポートできることを考察してみました。
どうも、筋トレ臨床工学技士ブロガーkenです。
今回は腎臓リハビリテーション(通称腎リハ)についての記事です。
腎リハとは一体なんなのか?
僕たち臨床工学技士はどのように関わるべきなのか
を考えてみました。
IPS細胞を用いた腎臓の再生研究も進んでいるこの時代、いつか腎リハはおろか透析患者さんがいなくなるという未来も訪れるかもしれません。
ただ、今いる透析患者さんの生活の質を上げるにはまだまだ時間がかかる分野であると思います。
その点腎リハは、現時点で生活の質に悩んでいる透析患者さんを直接救うことのできる分野であると思います。
リハビリというと、臨床工学技士は関係ないと思いがちですが、透析医療に強い関わりをもつ臨床工学技士だからこそ、できることはあると考えます。

それでは本日もよろしくお願いします。
そもそも腎リハとはどんなものなのか?
日本腎臓リハビリテーション学会から腎臓リハビリテーションの手引きというものが公開されています。
それによると腎臓リハビリテーションとは以下のようなものになります。
腎臓リハビリテーション(腎臓リハ)は、腎疾患や透析医療に基づく身体的・精神的 影響を軽減させ、症状を調整し、生命予後を改善し、心理社会的ならびに職業的な状況 を改善することを目的として、運動療法、食事療法と水分管理、薬物療法、教育、精神・ 心理的サポートなどを行う、長期にわたる包括的なプログラムである。 出典:腎臓リハビリテーションの手引き
要するに、運動、食事、薬物療法など様々なところからアプローチして、保存期CKD患者さんや透析患者さんの生活の質(QOL)をよくしましょうというものです。
そして、運動療法はこの腎リハの中核となる部分となります。
腎リハの意義
リハの究極のゴールは在宅生活や復職としがちである。すなわち、脳卒中で倒れた患 者が、リハの結果、再び歩けるようになり、自分で洗面や更衣、食事ができるようになり、在宅復帰し、仕事に戻れれば十分な成果であるといえる(生活機能予後や生活の質 の改善)。
しかし、腎臓リハのゴールは、単にそれだけではなく、心血管疾患の防止、 生命予後の延長、腎機能低下予防をも含むものである。このことを考慮すれば、在宅生活を行っている CKD患者でもさらなるリハが必要である。 出典:腎臓リハビリテーションの手引き
リハビリというとなんとなく、動きにくい体を動きやすくするというようなイメージが強いですが、腎リハの目的は単にそれだけではなく、予防医学的な意味合いもあるので、体の動きや現時点で生活に支障がなくても取り組むべきものということになります
腎リハにおいて臨床工学技士が果たせる役割
筋トレ臨床工学技士として今一番興味あるのはやはり腎臓リハビリテーション、いわるゆ腎リハ
運動療法が核となるこの考え
僕たち臨床工学技士が介入できるとすれば、
・透析中のリハビリの安全を担保するためのデバイス管理
・工学的知識を活かした監視項目の検討
・モニタリングによる治療効果検討— ken@筋トレ臨床工学技士 (@ce_fitness_note) 2018年8月29日
上記の3点について各々考えていきます
透析中の運動療法の安全確保のためのデバイス
真っ先に思いついたのは
ニプロから販売されている透析用抜針・漏液検知器 見針絆®️システム
(みはりばんと読みます)
出典:ニプロホームページより
装置先端のクリップと穿刺針を接続することで、0.1mL以上の血液の漏れを感知することができます。
同社の透析用監視装置NCV-3と組み合わせることで、液漏れ検知時に連動して血液ポンプが停止して、漏血事故の被害を最小限に止めることができます。
いくら運動療法中とはいえ、透析中にシャント腕をあえて激しく動かすことはないと思いますが、動いている以上抜針事故のリスクは高まるので、このデバイスは運動療法では非常に有用であると思います。
実際に自分の施設では使っていないので、使用感などについては詳しく書けないことをご了承ください。
工学的知識を用いた監視項目の検討
透析中にモニタリングする項目として
・静脈圧
・TMP
・透析液圧
などの各種圧力値を見ているかと思います。
特に静脈圧が大事になってくると思いますが、これの警報レベルを運動している患者さんは少しシビアに設定するなどの工夫を提案するのも、臨床工学技士の得意分野の一つであると考えます。
モニタリングによる治療効果の検討
レーザー血流計による末梢循環の改善の変化や、BV計によるプラズマリフィリングの変化などをモニタリングし、運動療法による症状改善効果の可視化も臨床工学技士の関われるところだと思います。
運動療法の有効性、エビデンスの集積などに繋がることになります。
安全確保のデバイスで思いつくものといえば、見張絆、液体検知センサーとかかな?
監視項目の検討は静脈圧、TMP、液圧?
モニタリングはレーザー血流量、BV計かな
考えればもっとありそう。
あとは実際に運動療法取り組んでいる施設の技士の意見が知りたいところ— ken@筋トレ臨床工学技士 (@ce_fitness_note) 2018年8月29日
自分の働いている施設ではまだ運動療法に取り組んでいないので、運動療法に積極的に取り組んでいる施設の臨床工学技士がどのように関わっているかはわからないところもあるのが正直なところです。

透析患者さんの運動療法と診療報酬
透析患者さんの運動療法についてですが、普通にやっていては診療報酬としての加算は特に無いようです。
ただ、理学療法士さんが介入することで、リハビリとして加算されるとのことです。
最後に
腎リハと一言で言ってもとても奥が深い分野だと思います。
先生が患者さんを総合的に見て
看護師さんによる看護サポート
理学療法士さんによる運動プログラムの作成
管理栄養士さんによる栄養面のサポート
そして臨床工学技士によるデバイスを用いた透析中の運動療法の安全確保や治療効果検討
など、様々な職種による働きかけが大事なのかなと思いました。
実際に運動療法に取り組んでいる施設の方などの意見などもあればお待ちしております。
本日もここまで読んでいただき、ありがとうございました。
ken