どうも、筋トレ臨床工学エンジニアkenです。
本日は総合病院における臨床工学技士の夜勤業務についてです。
以前も夜勤業務についての記事を書きました。

↑この記事はある日の実際の夜勤業務を時系列でまとめたもので、他の日にはまた違う業務にもあたっています。
2019年3月まで臨床工学技士として働いていた僕の備忘録のような感じになると思います。
これから当直勤務や夜勤を始める新人さんや、臨床工学技士を目指す学生さんにとって、
僕の経験が少しでも役に立ってくれたら嬉しいです。
当院の業務内容、業務の範疇に限った内容ですので、他の施設での業務とは違う点があることも多々あると思います。
参考程度にしていただくと幸いです。
この記事によって起きた事故等については、一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
臨床工学技士の夜勤業務
呼吸器ラウンド
ICU、ER、NICU、一般病棟で使用している全ての人工呼吸器の使用中点検を行います。
基本的には施設各々で規定されているチェック表を用いての点検になります。
当院の場合はざっくりいうと
- 外観の異常の有無
- 非常電源の接続確認
- 酸素、空気配管の接続確認
- 加温加湿器の確認(電源、蒸留水)
- 人工呼吸器回路の確認(接続不良、破損、汚染、加湿による回路内水分貯留の確認など)
- バックアップ換気ができるかどうか?(ジャクソンリース、バックバルブマスクなどが呼吸器に設置されているか)
- 各種設定項目の記録
- 患者データの記録(呼吸回数、呼気終末二酸化炭素濃度など)
- 各アラームの上限値、下限値の確認
などになります。
要するに、呼吸器が安全に、問題なく使用できているかの確認です。
特に病室移動後、CT、MRIなどの検査から戻ってきたあとは
- 電源コンセントが一般電源に接続されている
- 加温加湿器の電源がOFFになっている
ということが起こる可能性が高いので、移動後、検査後は入念にチェックです。
ER急患対応
救命センターに運ばれてくる患者さんの対応にも臨床工学技士が関わることがあります。
主な業務としては以下の3つです。
NPPV導入
うっ血性心不全、COPD急性増悪の患者さんに使うことが多いです。
当院の場合は呼吸器準備、マスクフィッティングをCEが行います。
設定に関しては医者と相談しながら設定するという感じです。
基本的には患者さんが到着後すぐに導入することが多いです。
その際はその後のCT検査や入床の際の移動介助も行います。
移動時は特に酸素残量に注意しましょう
設定している酸素濃度、分時換気量やリークの量によっては満タンの酸素ボンベが数十分で空になることもあるので、
- 酸素ボンベの残量を要確認(不安なら複数本準備)
- 余計なリークを減らす
など対策しましょう。
また、CT検査時は患者さんがベットごとCT装置内に進んで撮影するので、
呼吸器をCT装置に寄せて置いとくなどしておかないと、回路がつっぱり、最悪取れてしまうということにもなりかねないので注意しましょう。
ECMO導入
心肺停止になった患者さんに対して使う補助循環装置です。
当院の場合は循環と呼吸の両方をサポートするV-A ECMO(いわゆるPCPS)を行うことが多いです。
(この記事ではECMO=V-A ECMOとします)
ECMO導入するとなったら早速プライミングです。
医者が動脈と静脈に送血、脱血カテーテルを挿入している間に、
- 回路を機器にセット
- 生理食塩水でプライミング(特に回路の分岐部などにエアーが残ることがあるのでしっかりエア抜き)
- 電源、酸素配管の接続
- 人工肺を酸素ラインの接続
- 流量計のセット
などを行います。
患者さんへのカテーテル挿入ができ、回路も準備OKなら、送血、脱血回路の先端を医者に渡します。
(この時、医者は清潔状態であるため、不潔にならないように渡しましょう)
接続後、ポンプをONにして循環開始、
それと同時に酸素の吹き流しも忘れないようにしましょう。
人工肺の前後で血液の色調が変わっていることを確認。
人工肺前後での血液ガス採血、ACT測定をしつつ、流量計もしっかり確認。
患者さんの血液量が少ないと急に脱血不良になることがあります。
他のスタッフは別の業務に集中していることが多いので、
CEから適宜流量の状態をコールした方がいいと思います。
導入して落ち着くと、CTや入床となるので、移動時の介助となります。
- 呼吸器ほどの高流量の酸素は使わないですが、ボンベの残量はしっかりチェックしましょう。
- 呼吸器と同じく、回路が突っ張らないような位置に機器を配置することも忘れずに
- 流量の変化に気づけるように、流量計の表示をCT捜査側から見えるようにしましょう。
カテ対応
急性心筋梗塞など、冠動脈に何らかの疾患の疑いがある場合は、血管撮影室でのカテーテル検査となります。
検査の結果、治療が必要となればそのまま治療になります。
当院のCEの業務としては
- 患者さん入室時の対応(心電図、動脈圧の表示準備)
- 検査、治療中のポリグラフの操作、記録(心電図、圧波形、熱希釈による心拍出量の記録など)
- ME機器の対応
などです。
当院のCEの業務状況では、特に除細動器を使用する際は率先して準備することを意識してます。
医者も心電図は見てはいますが、手技に集中している場合もあるので、すぐに気づけるかどうかはその時の状況によります。
また、医者は清潔状態でもあるので、不整脈に気づいたとしてもどうしても少しのタイムラグがあります。
VT、VFなどの致死性不整脈にはいち早く気づき、医師の指示の元迅速に準備しましょう。

病棟機器トラブルシューティング
病棟のME機器全般のトラブル対応も行います。
前述の呼吸器関連、生体情報モニタ関連が多いです。
呼吸器に関してはICU、ERのような集中治療系ユニットほど使う頻度がないので、いざ使用となると、問い合わせが来ることが多いです。
血液浄化関連業務
夜勤帯で緊急で血液浄化を行う場合はほとんど病棟に出向いて行う、病室透析となることが多いです。
準備としては
- 個人用RO装置
- 個人用透析コンソール
- 透析液やダイアライザー、回路、穿刺針などの消耗品
を病室に持ち込みます。
病室の広さや設備(個人用RO接続できる水道設備があるかどうかなど)もあらかじめ確認する必要があります。
看護師さんと相談しながら、必要に応じて部屋を移動してもらうなど対応しましょう。

また、CHDFのような持続的な治療
PMXのような特殊血液浄化もやることがあります。
施設にもよるとは思いますが、
日勤帯でも普段あまりやらない特殊治療を夜間一人で対応するとなると、なかなか慣れないかもしれません。
- 日勤帯で特殊治療のオーダーが入った際はなるべく準備に関わるようにする。
- 院内マニュアルがあればいつでも見れるようにする。
など対策をするしかないと思います。
まとめ
どの業務に関しても言えるのですが、夜間一人で院内全部署の対応をするとなると、どうしても普通に日勤帯で働いているだけでは関われない業務もあると思います。
- 日勤帯でも夜勤や当直時の対応を常に意識しながら業務に取り組む
- わからないところはそのままにしない
慣れるまで大変だと思いますが、今後夜勤や当直対応をする方には頑張ってほしいです。